個人事業主が安全に仕事する為の契約「瑕疵担保責任」の恐ろしさ

社会・法律

受注側(僕ら=個人事業主)がやるべきことと責任について

・僕らは、仕事を完成させなければいけない。
・僕らは、完成するまで何度も無償で修正しなければいけない。
・僕らは、完成するまで代金を払ってもらえなくても文句を言ってはいけない。
・僕らは、もしも定められた期間内に作業が終了せず発注者に損害が発生した場合、損害を賠償しなければいけない。

一見厳しいようにみえますが、これらは個人事業主として仕事をしていく上で当然の義務なのです。

問題は、発注者と受注者の間で「完成の定義」が異なる場合です。

発注者「これはまだ完成じゃない!最後まで仕事をしろ!」
受注者「いいやもう完成している!僕は責任を果たしたぞ!」

発注者と受注者の間でトラブルになるのは、ほとんどが両者の「完成の定義」に差異があることが原因です。

そもそも仕事の「完成」とは具体的にどんな状態?

仕事が完成したかどうかが契約上大変重要なポイントになるわけですが、では「仕事の完成」とは具体的にどういう状態をさすのでしょうか?

仕事の「完成」とは?

・全ての工程が終了していれば、完成!
・不具合が多少残っていても、完成!
(なぜなら納品の時点で不具合0のプログラムを作成することは事実上不可能だからです。ただし納品後でも発生した不具合は修正する義務があります。)
・発注者の絶対的な納得がなくても とりあえず全ての工程が終了していれば、完成!

完成の定義は意外とゆるいんですね。

恐怖の「瑕疵担保責任」

「瑕疵担保責任」という言葉をご存知でしょうか?
これはつまり「バグがあったなら無償で直す、損害が発生したら賠償する」という内容の、受注者にとっては恐ろしい(?)契約の1つです。

この瑕疵担保責任、実はかなりややこしい契約となっています。
ややこしい契約内容を無理矢理簡単にまとめると下記のような感じになります。

・不具合があったら無償で直さなくてはいけません。
・ここでいう不具合とは「仕様の不一致」とします。つまり一見不具合っぽい動きをしていたとしても、仕様書にその動きが正しいと記載されていれば不具合として認められません。(この認識の差で発注者とトラブルになることが多いです。)
・損害が発生したら賠償しなくてはいけません。
・瑕疵担保責任は最長1年負うことになります。
・納品したものがまるで機能しないような重大な不具合でない限りは、発注者の「バグってるじゃん!責任とって全額返金しろ!」発言は通りません。
・これらのルールは契約書で上書きが可能です。(超重要)

注目したいのは最後に書いた「これらのルールは契約書で上書きが可能」という部分です。

瑕疵担保責任は契約書の内容が優先されるので、責任を軽くすることも重くすることも出来るというのが、この契約の恐ろしいところです。
発注者が作成した契約書は、たいてい発注者にとって有利な条件になっています。そしてその逆もまた然り。
中にはとんでもない内容の契約書をしれっと渡してきたりする発注者もいるので、注意が必要です。

僕が過去に発注者からいただいた契約書の中には、瑕疵担保責任が「無期限」になっていたり
「過去に他のプログラマーが作ったプログラムのバグの責任もすべて負うこと」というようなめちゃくちゃな契約書がありました。
今では知識がついたおかげでその契約書の恐ろしさを感じることが出来ますが、当時の僕はまだ若く契約書の内容をきちんと読まずにサインをしてしまったんです。

その結果、思い出すのも嫌なくらい恐ろしい目にあいました・・・。(白目)

契約書の内容はきちんと確認するようにしましょう。

僕ら受注者側がよくつかう契約内容としては、瑕疵担保責任の期間を1〜3ヶ月程度に短くする契約ですね。
1年も責任を負ってたら無償修正だけであっぷあっぷになってしまうからです。
僕は大抵いつも1ヶ月、複雑なプログラムだったら3ヶ月を上限にしています。

雑感:あらかじめ発注者と認識合わせをしておくことの大切さ

大金を払って制作したプログラムが動かなかったりバグが見つかったりするのは、発注者としてはとても悲しいことだと思います。
なので発注者の「バグはすべてなおして!」という気持ちも分からなくはありません。

しかし素人の発注者ほど「手作業で作るものである以上、ある程度のバグがでるのは仕方ないことだ」ということを理解してくれません。
「お金を払って依頼したんだから、完全無欠のパーフェクトプログラムができるのが当たり前だ!」と感じている発注者がいるのは事実なのです。

その認識の差を契約前にしっかりと埋めれるようにコミニュケーションを欠かさないことが大事なのでしょうね。


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